2011年9月23日金曜日

ESP(本)応援祭 第二回

報告者の三人。左から泉秀樹、工藤遥、渡邊未帆

 東北地方に甚大な被害をもたらした宮城県沖大地震は、井の頭公園に面したビルの七階にある吉祥寺サウンド・カフェ・ズミにも相応の被害をもたらした。限定的に交通機関が動いた12日(土)、ズミでは吉祥寺近隣に住む有志の助力によって6時間に及ぶ復旧作業を実施、さいわいなことに、アルバム類やオーディオ機器にはさしたる被害がなく、営業再開ができるほどに原状回復した。

 故障したエレベーターもすみやかに復旧、被災地から新たな被害報告がもたらされるなか、東京芸大の大学院生であるフリージャズ研究者・工藤遥をゲスト格に、レギュラー・メンバーの泉秀樹渡邊未帆が顔をそろえ、3月13日(日)、<ESP(本)応援祭>「『The East Village Other』周辺」が、予定どおり開催された。ときたま余震が訪れるなかでの講演であった。第二回目となる今回は、新たに発掘された資料を踏まえつつ、オムニバス集『The East Village Other』(ESP 1034)を関連資料によって読み解いていくというもの。ESPに先行したFolkwaysレーベルとバーナード・ストールマンとの関係だとか、フリージャズはもちろんのこと、アート・ロックやフォークソング、ビート詩人などが混然一体となって形成していた1960年代の時代精神を色濃く刻印するニューヨーク・アンダーグラウンド・シーンの隠された側面が紹介され、「フリージャズのESP」という人口に膾炙したイメージが、ESPが広範囲にわたって制作したアルバム群のなかにあっては氷山の一角にすぎないことが、多方面の資料を参照することで示された。次回の<ESP(本)応援祭>は、4月10日(日)開催の「忘れがちなESP」。



[初出:mixi 2011-03-13「ESP(本)応援祭 第二回」]

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