2011年9月23日金曜日

ESP(本)応援祭 第三回

新たに作成された世界フリージャズ・マップを片手に解説する泉秀樹氏。

 原発事故の終息がいまだその着地点をみせていないにもかかわらず、桜前線が関東に襲来し、東京にもいっきに花見シーズンが訪れるなか、東京都知事選、統一地方選挙が施行された4月10日、吉祥寺サウンド・カフェ・ズミにて、<ESP(本)応援祭>第三回「忘れがちのESP-DIKS」の第一弾「米国以外で録音された ESP 音源」が開催された。

 前回までの経緯を、主催者の渡邊未帆氏が簡単に説明したあと、進行役を店主の泉秀樹氏にバトンタッチして、Günter Hampel Group『Music From Europe』(ESP-1042)、Free Music Quintet『Free Music One & Two』(ESP-1083)、Peter Lemer『Local Colour』(ESP-1083)、Karel Velebny『SHQ』(ESP-1080)、Nedley Elstak『The Machine』(ESP-1076)など、ESPレーベルのなかで忘れられがちの諸作を中心に聴きながら、1960年代に花開いたヨーロッパのフリージャズを、かけあしで一覧する会となった。フリージャズの国際性を視野にいれ、ESPからのリリースが予定されながらも実現をみなかった、フリッツ・ノヴォトニーの “リフォーム・アート・ユニット” や、高柳昌行の “ニュー・ディレクション・ユニット” などがかけられただけでなく、当時のフリージャズがもっていたインターナショナリズムを直感的に把握するため、世界フリージャズ・マップ(未完成)が製作・公開された(上掲写真参照)。

 オランダのフリー・ミュージック・クインテット周辺の動きについては片岡文明氏が、またチェコのカレル・ヴェレヴニーやイジー・スチビーン周辺の動きについては岡島豊樹氏が、それぞれ特別コメンテーターとしてレクチャーの一部を担当し、1960年代に世界に拡散したフリージャズの厚みが、説得的に、また多面的に語られた。前回の発表者で、この日は客席にいた工藤遥氏も議論に参加して、吉祥寺ズミとはゆかりの深い情報通たちが、レーベルにまつわる多種多様な知識をもちよるという、和気藹々の報告会となった。次回の<ESP(本)応援祭>は、一週間後の4月17日(日)が予定されている。


泉秀樹氏(左)とコメンテーターの片岡文明氏。
右端は、主催者の渡邊未帆氏。













コメンテーターの岡島豊樹氏(左)。













[初出:mixi 2011-04-11「ESP(本)応援祭 第三回」]

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